丁子屋

きものTPO

浴衣考①女性と浴衣のイイ関係

昨今、和装ブームが到来し、老舗呉服屋としては大変嬉しく思っております。外国人観光客が浅草や京都で浴衣を楽しんでおられる景色も、一種の風物詩になっていることでしょう。日本の文化に触れたいと、男女問わず和服体験をされている事実。それは、和服が伝統文化であることはもちろん、それを超えて日本固有の“おしゃれ”の一つであることを象徴しているかもしれません。

呉服屋におりますと、日本の女性も、和服は“身も心もおしゃれ”になれるという認識であることに気付かされます。お客様の「洋服に飽きてしまって」という言葉から、おしゃれへの追求心や美意識の高さを感じる機会が多いのです。

同様に、この時期は「普通の浴衣に飽きてしまって」と来店する方が多くいらっしゃいます。「大人の浴衣を着たくなりました」と。浴衣はもともと湯上りに着る衣服ですから大人も子どももありませんが、生地が薄い分だけ肉体が露わとなります。洋装に比べて隠れている割合が多いのですが、逆に出ている部分の首筋、手元・足元、そして胸元や腰回りの凹凸が強調されるのです。特に、長襦袢を着ない浴衣の場合は、肌と布が直接触れ、密着度も高くなりますので、素材感が顔映りや着こなしに影響を与えます。つまり、お洋服の場合と同様で、夏物は生地の分量が少ないだけでなく薄いため、質感によっては冬物よりも安物に見えてしまいがちです。安いから悪いわけではありません。弾ける若さによって、薄物でも耐えることができる時期と、ある時から「これまで着ていた浴衣が、昔のように着こなせないわ」という時期が来るのです。その意味で、実は“浴衣を大人らしく着る”ということは、妙齢を過ぎた女性にとっては、一つの課題となってきます。今まで外で着用していた浴衣に違和感を感じたら、もしかすると“大人の浴衣”への入り口に立っているのかもしれません。

浴衣を大人らしく着こなすポイント

① 上質素材の浴衣を選ぶ
絞りの浴衣を長襦袢と共に着用したり、奥州小紋や絹紅梅などお着物とも言える浴衣を選ぶと良いでしょう。長襦袢を着ると、ぐっと和服感が増し、大人の浴衣を着こなしているように見えますよ。涼しさを最も重視したい方には、麻のお着物と麻の長襦袢をおすすめします。

② インナーと補正を工夫する
腰回りのくびれや、胸のボリュームを抑えて平らな線を作ります。また、夏の湿度で蒸れを防ぐステテコなど履くことによって、素足が見えるのを防ぎます。

③ 名古屋帯を締める
浴衣に半幅帯は気軽なスタイルですが、後ろから見て腰回りが気になる方は、半幅帯ではなく夏の名古屋帯がおすすめです。帯枕を用いない角出し(銀座結び)など結び方の工夫によって、暑さを防ぎつつ体型をカバーした大人の着こなしを楽しめますよ。

丁子屋では、夏の帯結び講座を毎年開催しています。また、ご自身に合う補正の仕方も練習できます。講座の開催予定はカレンダーに記載しておりますが、お気軽にお問い合わせください。

第一回浴衣講習会

第二回浴衣講習会  

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