浴衣考②おうち浴衣してみませんか?
いよいよ浴衣の季節となりました。今年は既に花火大会の中止を決定している地域が多いようですが、浴衣を着る楽しみはそれだけではありません! 丁子屋広報兼ライターの私は、今まさに浴衣姿でこの記事を書いています。新型コロナウィルス・パンデミックにより余儀なくされた自粛生活の中で、全国に広がる和服好きの女性たちが、自宅での和服を楽しんでいらっしゃいますね。私も6月から“おうち浴衣”を始めました(毎日ではありませんよ!)。
私は、木綿の浴衣を五枚、大人の上質な浴衣を二枚持っています。そのうち一枚は自分で和裁をして仕上げた浴衣と、母から譲り受けた年代物の手縫い浴衣です。後者は昔の上質なもので、居敷当てが付いています。着用して初めて分かる立体的なお仕立て。その理由は、手縫いだからだと知った時には驚きました。私にとって第三の浴衣のような存在。母から譲り受けたこと、またクラシックな色柄デザインが、現代では生み出せない存在感を醸し出し、思わず昭和初期へ想いを馳せてしまいます。全て大切なものですが、特別な一枚です。
さて、呉服屋にいると、きものにまつわる素敵な想い出話を聞くことが出来るのも醍醐味です。一枚の浴衣から広がるエピソードを丁子屋の仲間たちに聞いてみましたので、少しご紹介します。
「お着物好きだった亡き祖母が、生前に内緒で浴衣を仕立ててくれていたのです。モダンで斬新な柄がとても気に入って、擦り切れるくらいに何度も着古しました。そして、その布を今では風呂敷として愛用しています」
続いては、六代目女将(若女将)のエピソードです。
「高校時代の初デートが花火大会で浴衣を着ました。その直後に振られたのは、浴衣が似合っていなかったからだと思っています。浴衣が似合うことはとても大事だと今更思っています、笑」
ユーモアに溢れた若女将。今では素敵に大人の浴衣を着こなしていらっしゃいます。想い出からの教訓があるのかもしれませんね! 丁子屋は、モダンなものからクラシックなものまで浴衣のラインアップを揃えていますが、特にクラシックなラインをお求めになるお客様は、街で声をかけられたというお声をいただきます。そんなエピソードを伺うと、また私たちも同じように嬉しい気持ちとなります。
最後に、おうち浴衣の意外な利点をご紹介したいと思います。
機能的な側面
① 冷房を効かせた自宅仕事で大活躍。
手元まで隠れるので冷えを予防しながらも程よい風通し。
木綿の肌触りが、さらっと心地よく、病みつきに…。
*寒さが苦手で、冷房をつけたり消したりする方に是非おすすめしたいです。
② 自宅でお洗濯ができる
パンパンと叩いて干せばアイロンも不要。
*おしゃれ着洗いですと、よりシワになりにくいです。
情緒的な側面
① 非日常気分でテンションアップ
浴衣とはいえきものですから、色柄形でお洋服との違いを楽しめます。
家族で、カップルで、ご夫婦で、家にいながらにして非日常へトリップできる手段の一つとなりますね。
② 気持ちの切り替えに
リモートワークが増えた方にオススメです。
気持ちを切り替えて、楽しいお仕事着として。クリエーティブな発想が刺激されて、アイデアが湧いてくるかもしれません。
気になる帯の結び方は、横になれる貝の口がオススメです。椅子の背もたれも気になりませんね。博多織は重宝します。今年の夏は、ワンピース感覚で、おうち浴衣にトライしてみませんか。